こすなの読んだもの

読んだ本の備忘録

『天使の囀り』貴志祐介

 

あらすじ:末期患者用のホスピスに勤める精神科医・早苗。アマゾンの奥地で仕事をする恋人・高梨の帰りを待ち望む日々だったが、いざ帰ってきた高梨はまるで人が変わったかのように"死"の魅力に取り憑かれていた。高梨の自殺をきっかけに彼が参加していたアマゾン探検企画について調査を始めた早苗。そこで高梨と同じ班だったメンバーたちがおよそ常識では考えられない方法で次々と自死していることを知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

おッッッッもしろかった!!!!貴志祐介に外れなし……

蜘蛛恐怖症のオタクが自宅を文字通り蜘蛛の巣にして蜘蛛食って射精するとこちょっとエロティックすぎる……潔癖症の女の子のドブ沼入水自殺もこれくらい詳細に描写してくれ。嫌いなものが反転して快感になるとかいう神設定性癖すぎてどうしようかと思った。

蜷川をはじめとした第四段階まで移行しちゃった人たちは恐怖の対象が直接死には結びつかないものだった人たちってことだよね、まあたしかに蜘蛛なんてタランチュラレベルの毒蜘蛛でもないかぎり死なないか……私は幽霊が怖いけどどうなるんだろ。

猿食っちゃったとききっちりウェルダンレベルまで焼いてたら大丈夫だったのかな?焚き火だしまあ難しかっただろうなと思うけど。頭だけ食べてないんだよね……食べる前に頭開いてたら虫びっしりでワンチャン気づけてたかもしれんね……

 

依田理想の理系陰キャすぎてメロつきまくってたからショックだよ……最悪だけど美しいまま死んでくれてよかったよ(!?)

口移し要求するとこ萌え〜♡と同時にあっこいつもう駄目やな……って察してしまってやばかった。ゴム付けてたら大丈夫とはいえ目からの混入でアウトってことは粘膜摂取あかんやろしな……うっかり指のささくれとかから精液入ったらやばそう。感染気づいた瞬間の絶望すごかっただろうな、でもその絶望も瞬時に快感に変わっちゃうんだよな…………えっっっっっっっちだ…………

 

『お前の彼女は二階で茹で死に』白井智之

あらすじ:ミミズと人間のハーフのような容姿を持つ"ミミズ人間"。その家系に生まれたヒコボシは、ミミズであることへのいじめを苦に自殺した妹・リチウムの仇を討つため刑事になる。しかし彼が事件解決のために頼るのは自身の頭脳ではなく、自宅に監禁した天才女子高生・マホマホだった。

ある日発生した高級住宅街での乳児殺人事件、なんと被害者の赤ちゃんは肉食のミズミミズが巣食う水槽に放り込まれ全身を捕食されて発見されたという。真相を追うヒコボシはやがて過去の強姦事件に辿り着くのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何がどうなったらこの話からこの美少女表紙になるのか小1時間問い詰めたい

 

まず思ったのがこれだけひどい差別があるにも関わらずミミズが絶滅しないこと、親が懲りずに生殖を続けて不幸の再生産を途絶えさせないことなんだけど。これって現実世界の発達障害者の隠喩っぽいなってちょっと思いました。(ヒコボシ母がその典型例だったけど)男のミミズは風俗すら許されず人権がないのに女はただ女であるだけで理解のある彼くんが現れて(デンみたいな物好きな金持ちもいるし)結婚出産までできちゃうところとか……自分だって健常者でないことで嫌な思いをたくさんしてきたはずなのにいざ妊娠するとそれをころっと忘れて自身の障害を受け継ぐかもしれない子どもの苦しみとかなんも考えずにポコポコ生むところとか……それで成長した子どもがヘルプを出してきても大丈夫大丈夫ってへらへらしてるとことか……

や〜もう何よりもオチが好きすぎる。そりゃリチウムだって貧乏で醜い同族よりイケメン金持ちが好きですよ。純愛ラブストーリーと見せかけてこんな最高最悪のBSSがありますか。鬱なのにめちゃくちゃ好きで困る……

 

パイパン好きとか猿にしか興奮しないとかどうでもいい性癖情報がどんどん推理の材料になっていくの新感覚すぎてすごい。

 

あといかにもヒコボシとマホマホのタッグが主人公みたいに見せかけといてあまりにあんまりなマホマホの扱いも好き。監禁されたJK名探偵とかいうコテコテの萌えキャラを大したドラマもなくあんな形で使い捨てることあるか?彼女の人生ってなんだったんだろうな。

『兇人邸の殺人』今村昌弘

あらすじ:葉村譲と剣崎比留子は、違法実験の研究資料を求める製薬会社社長・成島の依頼を受け、元研究者・不木がオーナーを務める廃墟テーマパーク『馬越ドリームシティ』内の屋敷『兇人邸』に潜入することに。 もともと違法就労者や犯罪者など後ろ暗い事情を抱えた従業員が多いドリームシティであったが、そんな従業員の間には「 不木によって兇人邸に呼び出された者はもう二度と帰ってこられない」という噂があった。

閉園後のテーマパークに堂々潜入する面々。しかしそこで待ち受けていたのは、大鉈を持った隻腕の巨人だった。成島が護衛に連れてきた傭兵グループも歯が立たず、生きたまま首を切られる同行者たち。一夜明けなんとか逃げ延びた葉村は必死に比留子を探すが見つからず、また巨人以外の人間によるものと思われる殺人も発生。一行は疑心暗鬼に陥る。

 

 

 

 

面白かった…………めっっっっちゃ面白かった…………

なんとなくREC思い出した。外から封じ込められたRECと違ってこっちは自ら封じ込めを選んだクローズドサークルだけども。パニックホラー大好きなのでぜひ映像化してほしい。

ケイ=剛力京なの全力でミスリードさせにきてて綺麗に騙された。ぱっと思いついただけでも過去回想の蟹座と天秤座発言、老けて見える免許証、京はケイとも読めること、京のナルコレプシーと授業中に眠気が抑えられないケイ……

ケイが左腕千切った瞬間の全部繋がる感じめちゃ気持ちよかったね……

 

いや裏井が良すぎません?!自分もケイ好きなのにジョウジの好意のこと教えて意識させるのフェアすぎるだろ。

そりゃ50年引きずるよな〜コウタが羽田博士のとこ通ってなければケイが目撃することも研究所に行くこともこんな運命を辿ることもなかったわけで……

ケイへの仕打ちを考えるとたかだか首絞めくらいで不木が逝ったの許せないんですけど……お前も首捻じ切られろ〜?でもケイの化け物呼ばわりを許さなかったりあの子呼びを強いてたりしてたのはちょっとだけ罪悪感みたいなのもあったのかなあと思ったりする。
なんにせよ最初に巨人を見たときの裏井の気持ち考えるとさあ…………

 

比留子が剛力相手にわたしを殺しに来るなら巨人を突破しなきゃいけないけど?って言い放つとこ好き。

『ミサイルマン』平山夢明

あらすじ:舞台は昭和。少年少女だけを狙う連続殺人鬼が町を騒がせている中、そこに住む小学生・巳影は恋や友情に思い悩む平穏な日常を送っていた。ある日、クラスメイト全員が集められた教室で自分たちの秘密を教えられるまでは。(『テロルの創世』)

 

幼少期の火傷によって誰もが二目と見られないような醜い顔になってしまった男。ある日ブルーという絶世の美女と出会うが、彼女は男の容姿を嫌うどころか男の血を呑みたがり、挙句その血の美味しさの虜になってしまう。
血の提供を通して蜜月を過ごす2人。しかしそこに男とまた違った美味しさの血を持つ"デブ"が現れる。(『Necksucker Blues』)

 

不死身の老人とその息子・テオ。死にたがっている老人と彼の望みを叶えたいテオは何度も殺害を試みるのだが毎回失敗に終わっている。
そんな中、テオの娘が奇妙な方法で惨殺されてしまう。犯人は見つからず、それどころか父の殺害のためにこっそり外出していたテオが警察に疑われる始末。老人は自身の特殊能力を用いて真犯人を探るのだが……(『けだもの』)

 

女性を長時間拷問し、その死の瞬間にだけ発現する超常現象の収集を生きがいにしている男。通り魔のように際限なく殺してしまうのを防ぐため、ターゲットにする女性にはある特殊な条件をつけることで自身への"枷"としていた。(『枷』)

 

"俺"は行きずりのどうしようもない男。治安最悪の終わった町の中で這うように日々を過ごす中、ある日耳の聞こえない美女に拾われヒモ暮らしをすることに。その家はなぜか黒電話で埋め尽くされており、撤去しようとすると彼女はひどく嫌がるのだった。(『それでもおまえは俺のハニー』)

 

妻子持ちにも関わらずリストラされた主人公。なんとかタクシー会社に再就職し、破格の家賃を誇る広い一軒家に移り住むことに。

家賃が安いわけは庭の隅にある謎の墓。不動産屋曰く法的に持ち主が不明な区画であり、撤去するわけにもいかないのだとか。それくらいならと主人公夫婦は快諾し新居での生活をスタートするのだが、次第に妻の様子がおかしくなっていき……(『或る彼岸の接近』)

 

テレクラで引っ掛けた女を殺して埋めることをルーティーンにしているツヨシとシゲ。しかしある日殺した女の顔の皮が発見され、週刊誌の記事になってしまう。しかも彼女はどうやら生前にシゲの財布をスッており、今も死体のポケットのどこかに入っているようなのだ。先に誰かに掘り出されたら一巻の終わりだと、2人はできれば二度と見たくなかった醜女の腐乱死体に向き合うことになる。(『ミサイルマン』)

 

 

 

 

 

 

 

或る彼岸の接近が怖かった……クトゥルフだよねこれ?最悪のバッドは回避したけど救いがねえ……

枷が特に気に入りです。最悪すぎて。でもストレートなグロ描写よりNecksucker BluesのGとかミサイルマンの口いっぱいのみみずとか虫系の描写の方がおえおえおえ!!!になるな。生理的な嫌悪感ってすごい。

それでもお前は〜が顕著だけど平山夢明ってつくづく知性も品性も欠片も持ち合わせていない主人公の一人称視点がうますぎる……

『令夢の世界はスリップする』はやみねかおる

 

あらすじ:谷屋令夢は何かもかもが平均的なごく普通の中学2年生。ただひとつ、世界線を『スリップ』できることを除いては──。

たとえば近所の保育園児が大きくなっている世界、たとえばテストで最悪な点数を取ってしまった世界。元の世界からほんの少し違った世界に移動してしまい、また元の世界に戻るという繰り返しを続けて生きてきた令夢は、ある日『死んだはずの母親が生きている世界』にスリップしてしまう。元の世界に戻りたくないと思う令夢。そんななか学校で落書き事件が起き、令夢は幼馴染の内藤内人と共に調査を開始するが……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超〜〜よかった……!!!!!はやみねかおるスマブラですよこんなん……各作品の名探偵が一堂に会してるのアツすぎます。

わたしは一応夢水と都会トムはガチ勢で怪盗クイーンはちょっと読んでる程度、虹北恭介とか未来屋は小学生のときに読んだっきりでだいぶ記憶が薄れてる……って感じなんですけど、それでも興奮がやばかった。亜衣ちゃんと内人の絡み!!!!!!!

 

確実に言えるのは、この令夢がスリップしてきた世界は一見本編通りの世界線に見えて微妙に違う世界だってことですよね。オムラアミューズメントパークが今度オープンするということは『そして五人がいなくなる』より前のはずなので色々と矛盾になるし、なにより内人はこんなに夢小説してくれないです。(?)

ほんとの内人なら創也につつかれても「なんだよ!」って察せずに怒るだけで「浴衣似合ってるよ」なんてさらっと言えなくないです???女子の座るとこにハンカチ敷くとか絶対できなくない????まず新聞とガムテ程度ならコンビニじゃなくゴミ箱で調達すると思う。

んーーーーーでも内人かっこよかった……レーチもそうだけどぼくははやみね先生の書く男友達に弱い……内人もそうだけど創也の夢を聞いて笑わないシーンもなかなか夢小説だった。砦に入れてもらえる上に南北に挟まれて南北の触媒とまで言われるのガチで最強のトリップ夢主やろ。

あとやっぱりレー亜衣かわいい。だいすき。レーチ夢女だけどそれはそれとして小学生の頃からの推しカプ。

 

神の概念がない世界、普通に怖い。神の味噌汁がなく内人もサバイバル技術を知らないということはおばあちゃんがいない可能性……?

気になるのはやっぱりタイトルなんですよね。令夢本人じゃなくて世界の方がスリップしてるの……?どういうこと……??

 

校庭の落書きは種明かしされてマジ!?ってびっくりしました普通に……バカ……なんで内人より30分も帰るの遅いの?って不思議には思ってた……ばりばり伏線やんけ……

家の前に落書きに見せかけたサイン書いて空き巣に入らせるやつ、IQ探偵ムーでもあった気がする。あったよね?

 

 

 

都会トム本編の展開的にもそろそろ風呂敷畳みにかかってるのかなって思ってましたけどこうはっきり断言されるとふええ……となってしまう。やだやだ醒めない夢を見させてくれ。

 

 

『ユダの窓』カーター・ディクスン

 

あらすじ:裕福な青年・アンズウェルは、メアリーという女性と愛し合っていた。結婚の許しを得るため彼女の父とふたりきりで話し合うことになったアンズウェルだが、彼に勧められるまま飲み物を口にしたところ気を失ってしまい、目を覚ますとなんと目の前に将来の義父の死体が転がっていた!

ロンドン中央刑事裁判所で殺人の容疑に問われるアンズウェル。現場が密室だったこともあり、誰もが彼の有罪を信じて疑わない。そこで被告人側の弁護士・メリヴェール卿が立ち上がる。

 

 

 

 

かの有名なディクスンカーの作品ですね。トリック自体は正直「ああそんなものか」と思うんですが、そこに至るまでの魅せ方が本当に素晴らしい……

この前クリアした大逆転裁判を思い出しました。あれも舞台オールドベイリーだしね。

基本的に裁判シーンが大部分を占めていて証人と判事や弁護士たちの舌戦で真実が明らかになっていくので、まるで自分も傍聴人のひとりになっているかのような感覚を味わえます。プロローグが『起こったかもしれないこと』、本文が『起こったらしいこと』、エピローグが『ほんとうに起こったこと』って章題なのが良い。

これもわりとさくさく読めたな〜!読みやすかった!メリヴェールがかっこいいです。私は全然真相が予想できなかったんですけどそれでもメリヴェールなら何とかしてくれそうだという謎の信頼感がありました。

ガラスのドアの失言のくだりは自分も覚えてたのでめちゃくちゃ興奮しました。こういう本人が気づいてない失言とか矛盾を指摘するシーンいいよね……脳汁出るよね……

『脳男』首藤瓜於

 

あらすじ:連続爆弾魔のアジトで犯人と一緒にいるところを捕らえられた男・鈴木一郎。頑なに過去について語ろうとしない鈴木の精神鑑定を任された医師・真梨子が独自に調べ上げたところ、とある仮説に行き着く。彼を逮捕した張本人・茶屋と共にその仮説を突き詰めていくのだが、ある日鈴木の入院先の病院に爆弾が仕掛けられ……

 

 

 

 

面白かった!ページめくる手が止まらなかった!

『生まれつき感情が存在しないけれど周囲の様子を見て学習したことで周囲から違和感を覚えられない程度にはハリボテの感情表現を行うことができる美少年』とかいう厨二にはたまらん設定。ボロが出たことに自分では一切気づけないのエモすぎる。

落ち着いた女医とせっかちな刑事がタッグ組んでるのちょっと海外ドラマっぽくない?全然違うけど検屍官シリーズ思い出しました。台詞回しも演劇めいた言葉遣いがちょくちょくあった気がする。

だんだん鈴木の中身が明らかになっていってると思いきや最後の最後でまた謎めいた存在に戻るの好きです。ラスト切ないけどモヤるな〜と思いきや続編あるんですね。そのうち読んでみたい。