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こすなの本棚

読んだ本のメモとちょっとした感想

『仄暗い水の底から』鈴木光司

 

 

あらすじ:幼い娘・郁子と2人でマンションに引っ越してきた淑美。ある日屋上で真新しいキティちゃんのバッグを見つけるのだが……(『浮遊する水』)

 

教師の謙介は恩師・佐々木に誘われて第六台場の調査に向かう。そこはかつて謙介の親友・敏弘が恋人を捨ててきたと自慢していた場所でもあった。(『孤島』)

 

マグロ漁船に乗る和男は海上で無人のクルーザーを発見する。乗組員を代表してクルーザーに乗り込んだ和男だが、不審な航海日記を発見し……(『漂流船』)

 

気性の荒い漁師・裕之は行方不明になった妻・奈々子の死体を自身の漁船のいけすの中から発見する。自分が殺したことを思い出し、海上でどうにか隠蔽しようとするが……(『穴ぐら』)

 

牛島はヨットの上でセールスマン夫妻のしつこい勧誘を受けていた。陸が近づいてきてほっとしたのもつかの間、ヨットが何かに引っかかり停止してしまう。(『夢の島クルーズ』)

 

劇団『海臨丸』の舞台稽古中、上の階から水が滴り落ちてきた。音響係・神谷は監督の指示で上階の女子トイレを確認しに向かうのだが……(『ウォーター・カラー』)

 

探検を趣味とする杉山は友人・榊原と共に未知の鍾乳洞を発見する。ところが不慮の事故により榊原が死亡、通ってきた道は榊原の巨体と岩により塞がれてしまい……(『海に沈む森』)

 

 

 

 

 

初めて読むはずなんですがなぜか夢の島クルーズだけデジャヴを感じました。これだけどこかで読んだことあるのかな?

 

個人的には漂流船が好きです。こういう直接的には描写しないものの容易にバッドエンドが想像できる終わり方大好き。

『浮遊する水』も幽霊抜きでぞっとする真相で良かったです……

 

『ディリュージョン社の提供でお送りします』はやみねかおる

 

 

あらすじ:登場人物になりきり、物語の世界をリアルに体験することができる『メタブック』。本を一切読まない森永美月は、ひょんなことからその『メタブック』を提供するディリュージョン社に就職してしまった。

今回の依頼人・佐々木のオーダーは「不可能犯罪のミステリ小説」。新人である森永は天才シナリオライター・手塚と共に舞台を整えるが、予定にない犯罪予告や殺人未遂事件が相次いで起きてしまう。

メタブック内に本物の殺人鬼が紛れ込んでいる……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやみね先生の新シリーズ!わーい!

 

ミステリあるあるがふんだんに織り込まれていて推理小説オタクとしては非常に面白かったです。名探偵の掟みたいな。ちょうどこの前「まだらの紐」を読んだばかりなのでなんだか嬉しくなりました。

私のような活字中毒からしたら美月ちゃんが異常者すぎる……

 

森永美月といえばマチトムですが、結局彼女は何者なんでしょうか……?もしや未来の内人の娘……??めちゃくちゃ気になるから早く2巻読みたい。

マチトム読者なら思わずにやけてしまうくらい美月ちゃんが内人でした。内人もいずれ就活で苦しむんだろうな。

 

 

ひらがな名義なのに人が死ぬの!?とハラハラしてましたが杞憂でしたね。

個人的には美月が真相に辿り着くのがちょっと唐突かな?って思いましたが、それを差し引いても十分面白かったです。

はやみね先生本当に好きです〜……

 

『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午

 

 

あらすじ:性に奔放な男、成瀬将虎は地下鉄への飛び込み自殺を図っていた女性・麻宮さくらを助ける。セックスだけの仲だった今までの女たちとは違い、さくらの内面に惹かれていく将虎。やがてふたりはデートを重ねるようになる。

時を同じくして、将虎は超お嬢様の久高愛子に『身内の死の真相を調べてほしい』と依頼される。先日轢き逃げで死亡した久高隆一郎が保険金のために殺害された可能性があるというのだ。将虎はさくらとのデートと並行して調査を進めるが……

 

 

※ネタバレです!↓

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の叙述トリックといえば『向日葵の咲かない夏』『殺戮にいたる病』『イニシエーション・ラブ』あたりに並んでメジャーなこの作品。

叙述だと知りつつ読んだのに華麗に騙されましたね……ミステリというよりアクション?娯楽小説?って感じです。

 

さくらが蓬莱倶楽部の人間であることは早い段階で見抜けるんですが(初デートで蓬莱倶楽部の名を出した瞬間に狼狽えた)まさか節子=さくらだなんて予想だにしませんでした。売春する70代が想像できない……

真相をぼかして描写するのではなく反則ぎりぎりの言い回しをするところがちょっとアンフェアな気も。現役高校生とか引っかかるに決まってんでしょ!?

 

「無職の綾乃はどこから遊ぶ金を捻出してるんだろう?」とか「掃除夫のおじさんがいきなり若い人に代わってたら不審に思われないか?」とかいろいろ引っかかるとこはあったんですけどね。

あまりに綺麗に騙されると逆に爽快感を覚えるものですけど、本作は「え……?まじで……?」がじわじわ襲ってくる感じです。

 

面白かったですが、個人的には同じ歌野晶午さんの『絶望ノート』の方が好みかな。

 

『悪魔の手毬唄』横溝正史

 

 

あらすじ:名探偵・金田一耕助が静養のため訪れた鬼首村は、23年前に謎多き殺人事件が起こった曰く付きの村だった。

村出身の大人気歌手・大空ゆかりの帰省で湧く鬼首村。そんな中で村の庄屋が姿を消し、やがて手毬唄になぞらえた連続見立て殺人が起きていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小学生の時に金田一は制覇したはずなんですけど、完っっっ全に中身忘れたのでまた読んじゃいました。

有名な見立て殺人といえば『そして誰もいなくなった』と共にこの本が挙げられますよね。ベタだけどやっぱ見立てはテンション上がります。

 

 

キャラが多い上に人間関係が複雑なので途中何度か混乱しました。家系図ぐちゃぐちゃすぎんよ……

正直リカもそこまで強い印象がなくて、真相が明かされてもあまり驚きがなかった。へーそうなんだ……みたいな。

『閉じられた世界での近親相姦』ってシチュはすごーーーーーーーく性癖なんですけどね!

田舎の封建的な恐ろしさは痛いほど伝わってきた。

 

 

(金田一のコミュ障っぷりが絶妙にキモくて好き)

 

『笑うな』筒井康隆

 

 

 

あらすじ:タイムマシンを発明したという友人に付き合う表題作。帰宅すると警官が妻を強姦しているところに鉢合わせた『傷ついたのは誰の心』。明治時代の宮内庁に電話が繋がってしまう『最初の混線』。超短編34編が詰め込まれたショートショート集。

 

 

 

 

 

 

『遠泳』『夫婦』『ブルドッグ』『タック健在なりや』あたりが好きです。シンプルながらも後味がすごい。

あと『産気』は笑った。オメガバースかな?

 

『殺戮にいたる病』我孫子武丸

 

 

あらすじ:"真実の愛"と称し、自分の気に入った女性を次々に惨殺していく蒲生稔。

親しい女性が被害者となったのをきっかけに、彼女の妹と共に調査を開始する樋口。

自分の息子が猟奇殺人犯ではないかと疑う母・雅子。

三者の視点が集結するとき、連続殺人事件の真相が明らかとなる。

 

ネタバレだよ!↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一応あらすじは毎回考えて自分なりにまとめてるんですけど、この話をまとめるのめちゃくちゃ難しいですね。

叙述の定番として名高いこの作品。叙述なのは知ってたのでかなり気をつけながら読んだのですが完っっっっ全に騙されました。

 

 

とにかくエログロがすごい。性器を切り取ってオナホにするとか常人の発想ではない。

一見エロはそこまでないような気がしますが、ショタが実の母親にクンニしようとしてるところを想像すると生々しくて駄目です。生理的な嫌悪感というか……不快なエロを描くのがすごく上手い……

 

 

読み終わったとき理解ができなくてしばらく固まってました。

稔のサイコっぷりは非現実的なのでフィクションとして受け入れられるんですが、雅子の気持ち悪さがすごくリアルでなんとも言えない不快さがあった。この両親の下で健全に育った信一と愛はすごいよ……

 

これは2回読むべきですね。

でんぱ組のみりんちゃんが「稔は狛枝みたいな外見イメージ」って言ってたから私もそれで脳内再生しよう。

あと我孫子さんってかまいたちの人なんですね!かまいたちもずっとやりたいなと思ってるんだよなー……

 

 

「生きるに値しない世界で、生きるに値しない人間が生き延びている」ってフレーズすごく好き。

 

『暗黒女子』秋吉理香子

 

 

あらすじ:お嬢様ばかりが集うミッションスクール・聖母女子高等学校で、学園中の憧れの的である白石いつみが墜落死した。

文学サークルの会長を務め、圧倒的カリスマを誇る完璧美少女だったいつみ。サークルメンバーの誰かが犯人だと噂される中、いつみの親友・小百合は会長の座を引き継いで『闇鍋会』を主催する。闇鍋をしながらひとりひとりが自作の小説を朗読するというこのイベントで、メンバーはそれぞれ「いつみの死」をテーマにした小説を発表し合うのだが……

 

 

↓ネタバレあり!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一言で言うなら『闇のマリみて』。

前置きの時点で犯人はなんとなーく察せましたがまさかあのオチに繋がるとは……

 

 

まず二谷美礼の小説。美礼視点なのでかわいそうな美礼に同情し、彼女が告発する古賀園子を憎みたくなってしまいます。しかし次の小南あかねの小説に移ると一変、美礼が告発され悪者として描かれています。

この時点で既に面白かった!同じ事実でもどの人物の視点に立つかでこんなに変わるものかと。湊かなえの告白を思い出した。

 

 

 

……しかし、闇鍋会が進むにつれて各人の話す『事実』すら食い違ってきます。視点の違い・思い込みだけでは説明できない矛盾。誰かが意図的にフェイクを混ぜている……?

最後の番である高岡志夜に至ってはハッキリと「小南あかねがいつみを突き落とすのを見た」と証言します。この時点で私は全くオチが予想できませんでした。

(あとなぜか私は北条先生が女だと思ってました。なんで????)

 

 

誰もが認める学園一の美少女が教師に一目惚れね〜……

恐らく女子校マジックもあったと思うんですよね。初等部から女子校だったら年の近い男性と関わることってまず無いでしょうし。箱庭で育ったが故に異質なものに惹かれたのかもしれない。

 

 

放火や殺人未遂に比べたら美礼の援助交際だけ軽いなと思いましたが窃盗もほんとだったのかな?

一番可哀想なのはディアナ。いつみがブルガリアを選びさえしなければ彼女の人生は狂わずに済んだのに……

 

 

いつみの小説が終わった時点でどんでん返しは成立していますが、もう一度返されるのがこの小説の凄いところ。正直いつみの小説だけで終わってたらありきたりなラストだったと思います。

いつみは常に殿上人であるべきだったのに、男と幸せになったことで凡庸な女へと堕ちてしまったーー……だから殺した。

すごい。百合の極みですよこれ。必ずしも小百合に恋愛感情があるとは言えませんが概念として百合。美しき聖女が平凡な人間になるのが許せなかったと……

私も先日高校を卒業したんですが、女子高生の肩書きがあるうちに死にたいなとよく思ってたのでいつみの気持ちはよーーーーくわかります。女子高生ってやっぱり神聖で特別で、制服は限りある美の象徴で、ミッションスクールだったらその傾向は尚更強いと思います。

 

 

 

そして極めつけの腕時計。いつみが嵌めていた腕時計が鍋の中にあり、デザートの名前は『ヴィーナスの腕』……

……じゃあ、今まで食べていた闇鍋の中身は?

 

 

 

 

 

 

 

 

うーん面白かったです。読み直したらまた新しい発見がありそうですね。

映画も観に行きたいなあ。