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こすなの本棚

読んだ本のメモとちょっとした感想

『孤島の鬼』江戸川乱歩


あらすじ:貿易会社に勤める男・箕浦は同僚・木崎初代と恋に落ち、交際を始める。しかし箕浦に片思いする美青年・諸戸道雄がなぜか初代に求婚。箕浦一筋の初代はそれを拒否するのだが、しばらくして初代が何者かに殺されてしまう。箕浦が雇った探偵も殺され、箕浦は諸戸の嫉妬による殺人ではないかと疑うのだが……




※ネタバレ含みます!↓













諸戸道雄を幸せにしてえ〜〜〜〜ッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!
めっっっっっっっちゃくちゃ良質なホモでした。こんなに美しくて切ないホモがあっただろうか。


箕浦は生粋のノンケなんですが、美形で医学生で将来有望な諸戸が平凡な自分に惚れていることに優越感を感じています。「優れた人間に好かれている自分はより優れている!」と自信を持てるからでしょう。だから諸戸の想いを完全には拒絶しないんですが、それが逆に残酷。
応える気がないならちゃんと突っぱねてあげようよ……



諸戸が死んだのは悲しいですが、彼にとってはあの状況での死は救済だったのかもしれません。
ずっと好きだった人が女性と結婚した上、その2人が経営する病院の院長になるなんて死ぬよりつらいことですよね。ずっと幸せな夫妻を見続けなければいけないわけですし。秀ちゃんの手術をしたときどんな気持ちだったんですか……

バームクーヘンエンドが特大地雷な腐女子なのでめちゃくちゃキツかった。何がムカつくって諸戸の恋心を1ミリも考慮せずに「私の外科医院の院長になってほしい」とかほざくところ。
やはりお前らは洞窟で心中すべきだった(刃物を構える)


でも秀ちゃんは好きです!暗黒館の殺人シャム双生児が性癖になった人間なので、吉ちゃんから秀ちゃんへの性的干渉のくだりはめちゃくちゃ興奮しました。



「君はわかっていてくれるだろうね。わかってさえいてくれればいいのだよ。それ以上望むのは僕の無理かも知れないのだから。だが、どうか僕から逃げないでくれたまえ」


「僕が独りで思っている、せめてもそれだけの自由を僕に許してくれないだろうか。ねえ、箕浦君、せめてそれだけの……」


「君は嫉妬しているの」
「嫉妬している。そうだよ。ああ、僕はどんなに長いあいだ嫉妬しつづけてきただろう」


「あの人が死んでからも、君の限りない悲嘆を見て、僕がどれほどせつない思いをしていただろう。だが、もう君、初代さんも秀ちゃんも、そのほかのどんな女性とも、再び会うことはできないのだ。この世界では、君と僕とが全人類なのだ」


箕浦君、地上の世界の習慣を忘れ、地上の羞恥を捨てて、今こそ、僕の願いを容れて、僕の愛を受けて」

↑ここらへん好きすぎてだめです。諸戸幸せになれ(n回目)
箕浦って諸戸の気持ちを受け入れる気は一切ないくせに諸戸が諦めて他の人と結婚したらブチ切れそうなイメージあるんですよね……ほんと小悪魔にも程がある。
「孤島の鬼」は丈五郎だけじゃなくて箕浦のことも指してると思う。


ラスト一行が本当に切なかった。諸戸はなんでこんな自己中クソノンケを好きになってしまったんだろう……
この時代は現代よりも一層同性愛へのあたりが強かったと思うので、将来が約束されていたであろう諸戸の苦しみは計り知れないです。

とても興味深い一冊でした。読んでよかった。