Kosuna's Bookshelf

読んだ本のメモとちょっとした感想。当方腐女子ですのでそういった発言を含みます

『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午

 

 

あらすじ:性に奔放な男、成瀬将虎は地下鉄への飛び込み自殺を図っていた女性・麻宮さくらを助ける。セックスだけの仲だった今までの女たちとは違い、さくらの内面に惹かれていく将虎。やがてふたりはデートを重ねるようになる。

時を同じくして、将虎は超お嬢様の久高愛子に『身内の死の真相を調べてほしい』と依頼される。先日轢き逃げで死亡した久高隆一郎が保険金のために殺害された可能性があるというのだ。将虎はさくらとのデートと並行して調査を進めるが……

 

 

※ネタバレです!↓

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の叙述トリックといえば『向日葵の咲かない夏』『殺戮にいたる病』『イニシエーション・ラブ』あたりに並んでメジャーなこの作品。

叙述だと知りつつ読んだのに華麗に騙されましたね……ミステリというよりアクション?娯楽小説?って感じです。

 

さくらが蓬莱倶楽部の人間であることは早い段階で見抜けるんですが(初デートで蓬莱倶楽部の名を出した瞬間に狼狽えた)まさか節子=さくらだなんて予想だにしませんでした。売春する70代が想像できない……

真相をぼかして描写するのではなく反則ぎりぎりの言い回しをするところがちょっとアンフェアな気も。現役高校生とか引っかかるに決まってんでしょ!?

 

「無職の綾乃はどこから遊ぶ金を捻出してるんだろう?」とか「掃除夫のおじさんがいきなり若い人に代わってたら不審に思われないか?」とかいろいろ引っかかるとこはあったんですけどね。

あまりに綺麗に騙されると逆に爽快感を覚えるものですけど、本作は「え……?まじで……?」がじわじわ襲ってくる感じです。

 

面白かったですが、個人的には同じ歌野晶午さんの『絶望ノート』の方が好みかな。

 

『悪魔の手毬唄』横溝正史

 

 

あらすじ:名探偵・金田一耕助が静養のため訪れた鬼首村は、23年前に謎多き殺人事件が起こった曰く付きの村だった。

村出身の大人気歌手・大空ゆかりの帰省で湧く鬼首村。そんな中で村の庄屋が姿を消し、やがて手毬唄になぞらえた連続見立て殺人が起きていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小学生の時に金田一は制覇したはずなんですけど、完っっっ全に中身忘れたのでまた読んじゃいました。

有名な見立て殺人といえば『そして誰もいなくなった』と共にこの本が挙げられますよね。ベタだけどやっぱ見立てはテンション上がります。

 

 

キャラが多い上に人間関係が複雑なので途中何度か混乱しました。家系図ぐちゃぐちゃすぎんよ……

正直リカもそこまで強い印象がなくて、真相が明かされてもあまり驚きがなかった。へーそうなんだ……みたいな。

『閉じられた世界での近親相姦』ってシチュはすごーーーーーーーく性癖なんですけどね!

田舎の封建的な恐ろしさは痛いほど伝わってきた。

 

 

(金田一のコミュ障っぷりが絶妙にキモくて好き)

 

『笑うな』筒井康隆

 

 

 

あらすじ:タイムマシンを発明したという友人に付き合う表題作。帰宅すると警官が妻を強姦しているところに鉢合わせた『傷ついたのは誰の心』。明治時代の宮内庁に電話が繋がってしまう『最初の混線』。超短編34編が詰め込まれたショートショート集。

 

 

 

 

 

 

『遠泳』『夫婦』『ブルドッグ』『タック健在なりや』あたりが好きです。シンプルながらも後味がすごい。

あと『産気』は笑った。オメガバースかな?

 

『殺戮にいたる病』我孫子武丸

 

 

あらすじ:"真実の愛"と称し、自分の気に入った女性を次々に惨殺していく蒲生稔。

親しい女性が被害者となったのをきっかけに、彼女の妹と共に調査を開始する樋口。

自分の息子が猟奇殺人犯ではないかと疑う母・雅子。

三者の視点が集結するとき、連続殺人事件の真相が明らかとなる。

 

ネタバレだよ!↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一応あらすじは毎回考えて自分なりにまとめてるんですけど、この話をまとめるのめちゃくちゃ難しいですね。

叙述の定番として名高いこの作品。叙述なのは知ってたのでかなり気をつけながら読んだのですが完っっっっ全に騙されました。

 

 

とにかくエログロがすごい。性器を切り取ってオナホにするとか常人の発想ではない。

一見エロはそこまでないような気がしますが、ショタが実の母親にクンニしようとしてるところを想像すると生々しくて駄目です。生理的な嫌悪感というか……不快なエロを描くのがすごく上手い……

 

 

読み終わったとき理解ができなくてしばらく固まってました。

稔のサイコっぷりは非現実的なのでフィクションとして受け入れられるんですが、雅子の気持ち悪さがすごくリアルでなんとも言えない不快さがあった。この両親の下で健全に育った信一と愛はすごいよ……

 

これは2回読むべきですね。

でんぱ組のみりんちゃんが「稔は狛枝みたいな外見イメージ」って言ってたから私もそれで脳内再生しよう。

あと我孫子さんってかまいたちの人なんですね!かまいたちもずっとやりたいなと思ってるんだよなー……

 

 

「生きるに値しない世界で、生きるに値しない人間が生き延びている」ってフレーズすごく好き。

 

『暗黒女子』秋吉理香子

 

 

あらすじ:お嬢様ばかりが集うミッションスクール・聖母女子高等学校で、学園中の憧れの的である白石いつみが墜落死した。

文学サークルの会長を務め、圧倒的カリスマを誇る完璧美少女だったいつみ。サークルメンバーの誰かが犯人だと噂される中、いつみの親友・小百合は会長の座を引き継いで『闇鍋会』を主催する。闇鍋をしながらひとりひとりが自作の小説を朗読するというこのイベントで、メンバーはそれぞれ「いつみの死」をテーマにした小説を発表し合うのだが……

 

 

↓ネタバレあり!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一言で言うなら『闇のマリみて』。

前置きの時点で犯人はなんとなーく察せましたがまさかあのオチに繋がるとは……

 

 

まず二谷美礼の小説。美礼視点なのでかわいそうな美礼に同情し、彼女が告発する古賀園子を憎みたくなってしまいます。しかし次の小南あかねの小説に移ると一変、美礼が告発され悪者として描かれています。

この時点で既に面白かった!同じ事実でもどの人物の視点に立つかでこんなに変わるものかと。湊かなえの告白を思い出した。

 

 

 

……しかし、闇鍋会が進むにつれて各人の話す『事実』すら食い違ってきます。視点の違い・思い込みだけでは説明できない矛盾。誰かが意図的にフェイクを混ぜている……?

最後の番である高岡志夜に至ってはハッキリと「小南あかねがいつみを突き落とすのを見た」と証言します。この時点で私は全くオチが予想できませんでした。

(あとなぜか私は北条先生が女だと思ってました。なんで????)

 

 

誰もが認める学園一の美少女が教師に一目惚れね〜……

恐らく女子校マジックもあったと思うんですよね。初等部から女子校だったら年の近い男性と関わることってまず無いでしょうし。箱庭で育ったが故に異質なものに惹かれたのかもしれない。

 

 

放火や殺人未遂に比べたら美礼の援助交際だけ軽いなと思いましたが窃盗もほんとだったのかな?

一番可哀想なのはディアナ。いつみがブルガリアを選びさえしなければ彼女の人生は狂わずに済んだのに……

 

 

いつみの小説が終わった時点でどんでん返しは成立していますが、もう一度返されるのがこの小説の凄いところ。正直いつみの小説だけで終わってたらありきたりなラストだったと思います。

いつみは常に殿上人であるべきだったのに、男と幸せになったことで凡庸な女へと堕ちてしまったーー……だから殺した。

すごい。百合の極みですよこれ。必ずしも小百合に恋愛感情があるとは言えませんが概念として百合。美しき聖女が平凡な人間になるのが許せなかったと……

私も先日高校を卒業したんですが、女子高生の肩書きがあるうちに死にたいなとよく思ってたのでいつみの気持ちはよーーーーくわかります。女子高生ってやっぱり神聖で特別で、制服は限りある美の象徴で、ミッションスクールだったらその傾向は尚更強いと思います。

 

 

 

そして極めつけの腕時計。いつみが嵌めていた腕時計が鍋の中にあり、デザートの名前は『ヴィーナスの腕』……

……じゃあ、今まで食べていた闇鍋の中身は?

 

 

 

 

 

 

 

 

うーん面白かったです。読み直したらまた新しい発見がありそうですね。

映画も観に行きたいなあ。

 

 

『占星術殺人事件』島田荘司

 

 

 

あらすじ:6人の処女からそれぞれの星座にちなんだ身体のパーツを切り取り、それを組み合わせることで『アゾート』を作るーー

殺された梅沢平吉の手記にはそんなおぞましい計画が書かれており、実際に平吉の娘たちが身体を切り取られた死体となって日本各地から発見されてしまう。

アゾートはどこにあるのか?平吉と娘たちを殺したのは誰なのか?日本中のミステリーマニアが持論を展開するも、事件は結局迷宮入りとなった。

それから40年後、占星術師である御手洗潔はとある依頼をきっかけにこの事件に興味を持ち、唯一の友人である石岡と共に調査を開始する。

 

 

 

 

 

 

島田荘司に初めて手を出しました。

推理マニアなら絶対に読むべきだと言われているこの本。なぜか今日まで手つかずだったので今更ですが読みました。いやはや凄かった……

金田一でネタバレしてるらしいですが私は全く読んだことがないのでただただ感嘆。トリックを聞いてもしばらく理解できずに図表と睨めっこしてました。この衝撃を真っさらな状態で味わえたのは幸運だった……

読者への挑戦は5秒でホールドアップ。私に分かるわけがない。

 

 

冒頭の手記に出てくるマニアックな用語といい緯度経度のくだりといい取っつきにくい文章が多いんですが、がんばって読み進めた価値はありました。前半は安楽椅子探偵状態なので説明ばかりでちょっとだれるかもですね。

でも平吉の手記の人物名と実際の名前を変える必要はあったのかな?ただややこしくなっただけのような。

 

時子の手記がなんとも悲しかった。決して恵まれていたとは言えないお母さんの名前が『多恵』なのが皮肉ですね。

時子の処女喪失の相手には触れてませんよね?誰だったんだろうか……職場の人とか?

 

あと御手洗がかわいい。

『要するに今考えると、御手洗は私に就職なんてくだらないと言いたかったらしい。性格がひねくれているから、君があまり僕のところへ来れなくなると淋しいから就職はやめて欲しいと素直に言えないのだ。』

 

「パンと……牛乳……食べる……以外に……どうするんだ?」

 

 

かわいい。

 

 

総括としては本当〜〜〜に面白かった。最近は叙述ばっか読んでましたがトリックで勝負する本格推理はやっぱり良いですね。文章が少々重いですが御手洗と石岡の掛け合いが軽快で上手い具合に中和されてた気が。

御手洗シリーズはこれから読んでいこうと思います。

 

 

 

『死のロングウォーク』リチャード・バックマン

 

 

 

あらすじ:"少佐"と呼ばれる人物が支配する近未来のアメリカ。そこでは100人の少年が最後の1人になるまで行進し続ける『死のロングウォーク』が行われていた。歩行速度が落ちれば警告、3回以上警告を受ければ射殺…というルールの下で少年たちはひたすら歩み続けるが……

 

 

 

 

リチャード・バックマンスティーブン・キングの別名義なんだそうです。

まず設定が面白い!デスゲーム系好きな人はあらすじ聞いただけでわくわくしますよね、私もそうです。

 

てっきり無作為に"選ばれてしまった"子たちが強制出場させられてると思ってたので、立候補制だとわかって腰抜かしました。私だったら絶対出ません……勝算ゼロだし……

作中でも言われてましたけどみんな程度の差はあれど自殺願望ありますよね。いくら魅力的な賞品があっても正気の沙汰ではない。

 

 

 

マクヴリーズは本当にギャラティのことが好きだったのかなあ。

私のフィルターを抜きにしてもあそこまで助けてくれるのは友情以外の何かがあってもおかしくない気がごにょごにょ……

エイブラハムが好きだったので脱落時は凹みました。スクラムとマクヴリーズとベイカーの最期も悲しかった。

 

 

あとラストがいまいち釈然としないんですけど気が触れてしまったってことでいいのかな……?それとも死んじゃったのか……?

私としてはギャラティが少佐を殺して自分も撃たれて共倒れエンドであってほしかったんですけど、そういうカタルシスを与えないのがスティーブン・キングらしいのかもしれません。

 

 

私にはちょっと合わなかったかな!でも人間関係の描写はすごく好き。

自分以外の全員を蹴落とさないと駄目だとわかっているのに、それでも友達になってしまうのがね。三銃士にはロングウォーク以外の場所で出会ってほしかった。

あと邦題は『ロングウォーク』だけで良かった気がする。『死の』を付けたことで逆にチープな印象になってしまってるというか。

 

 

めちゃくちゃどうでもいいんですが濃縮食を一度食べてみたい……味気になる……